Strength of scenery
OMIHACHIMAN
Originally uploaded by Yoichiro.
都市計画家協会が主催するルーフスケープ(屋根景観)コンテストで「近江の景」という作品で金賞を頂き、8月7日(日)、日比谷公会堂で表彰を受けました。
はじめて受賞のお知らせを頂いたとき、何かの間違いじゃないかなと思った。あまり写真としてはいいできじゃないと思っていたから。ではなぜこの写真を出品したのか。
この写真は琵琶湖の湖畔の風景を近江八幡の八幡山から写したもの。5月の暑い日、ロープウェイで八幡山の上に着いたのはもう午後3時をまわった頃で、湖と水田は傾いた陽を反射して、目を開けられないぐらい光っていた。水蒸気で全てがかすんでいるし、逆光のため、僕ではまともに撮れないだろうー。でも、ファインダーを覗いたのは、圧倒的な風景の強さのせいだったと思う。
良く撮れたと思う場合が2つある。1つは、自分が「見つけたもの」を「見せたいように」切り抜けたとき。もう1つは「(おそらく誰がみても)すばらしいもの」のすばらしさをできるだけ「損なわずに残せた」とき。少し悔しいが、実感としては後者の方が綺麗な場合が多い。
八幡山からの風景は、そんな意味で僕が切り抜くというよりも、そのまま写しとりたい風景だった。銀色にひろがる湖面、空を映すグリッドの水たまり、小さな丘、遠くの山並み、まっすぐな道、そして水面に浮かぶ幾つかの黒い集落。とても強い風景。
「強い」というのは、記号作用によって、僕の中に見えない像を結ぶ強さもあるけれど、それ以上に単純に光として網膜に焼き付く像の力強さ、知識と結ばれる必要のない、網膜的・身体的な風景の力強さのこと。結果として写真はやはり上手くはなかったけれど、消しがたい風景の強さは残ったのかもしれない。
ところで、本当に風景に強さなんてあるのだろうか?それは僕たちにとってどんな意味を持っているのだろうか?
これからも写真を撮りながらそんなことを考えたい。酔狂。
で、コンテストのことだけれど、付け加えると、選んで頂けた一つの理由には、主に屋根を中心に撮っている作品が多かった中で、「屋根がある風景」を撮った写真だったからということもあるかなと思う。都市計画家協会のみなさま、祝ってくれた方々、そして、写真部門委員長で本当にすばらしい『写真都市』にサインを下さった村井修さん、このような機会を与えて下さって本当にありがとうございました。
思い出として、郵政民営化関連法案の参院本会議採決を翌日に控えた小泉首相が、シークレットゲストで突然会場に現れて、大いに盛り上がったことも付記しておこっと。
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