1/14/2007

Tokyo tower


Tokyo tower1
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東京タワーについて国の登録文化財への申請が検討されている。理由は2つ。1つは東京タワーが2008年に建設後50年を向かえ登録基準を満たすため、もう一つは第2東京タワーの建設により電波塔としての役目を終えるためである。

ある都市を思い浮かべるとき、その都市での空間的体験(あるいは映画などによる仮想体験)に基づき想起される巨大な建築など、リンチのいうところのランドマークとは異なった意味で、行ったこともなければさほど知識を持ち合わせていないのに、その都市と組み合わされて思い出されるいわば象徴的な建造物がある。例えばワシントン-ホワイトハウス、パリ-凱旋門・ルーブル・エッフェル塔、ローマ-コロッセオ、フィレンツェ-ドゥオモ、ニューヨーク-自由の女神、香港-中国銀行、そしておそらくは東京-東京タワー。


Paris
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この東京タワーはよくエッフェル塔と比して語られるが、根本的に異なっていることは、エッフェル塔がパリ万博の記念碑として建設され機能を持たされなかった(後に機能を付与されている)のに対し、東京タワーは電波塔として建設されたということである。つまり、エッフェル塔はロラン・バルトによるところの存在理由の外に出るものであったのである。


Tower of Sun02
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実は日本にも純粋なる記念碑として建設された塔がある。1970年、日本万国博覧会(いわゆる大阪万博)の象徴として建設された太陽の塔である。太陽の塔は他のパビリオンが機能の剥奪と同時に消えていゆくなか、ただひとりいまも生き続けている。はじめから機能を持たないがゆえに、排除される理由もないのである。これについては、flw氏の記事が詳しい。

そして、ようやく東京タワーも機能の束縛から解放され、完全に無益なものへ、記念碑の零度を実現するものへ昇華しようとしている。これは東京にとって何を意味するのだろうか。

(ロラン・バルト「エッフェル塔」を再読後、加筆修正の予定)