2/24/2006

Kumano - 熊野 - a sanctuary


霧の那智
Originally uploaded by Yoichiro.



大門坂
Originally uploaded by Yoichiro.


Kumano is the Japanese sanctuary. But, there is no boundary in this sanctuary. Pilgrim to three shrines of Kumano is permitted only walking. Pilgrims while repeating the ceremony, walks the mountain path from Kyoto to Kumano. Fear to nature and this body and mental experience gives meaning as sanctuary to the space.
World Heritage


【 Japanese 】
人と空間の関係は常に不可解なものである。例えば、誰しも荘厳な教会や静寂な寺院では、信仰心によらずとも「聖なる」という感情を覚えた経験があると思うが、そこには人と空間の関係の秘密が隠されている。そこで、この興味深い現象について、日本の聖地である熊野を取り上げて考えてみたい。

平安より続く熊野詣は、京都から徒歩で聖地熊野の三社をめざす巡礼の旅である。熊野が聖地とみなされた理由は、京都からの方位、紀伊山地により地形的に閉ざされていること、修験の台頭、浄土思想の広がりなどいくつもある。

しかし、熊野には他の世界的な聖地にみられるような城壁や塔など聖域の境界や象徴はない。巡礼者は藤原定家の日記にあるように、ただ険しい山道を歩き、自然への畏怖におののきながら儀式を繰り返し、案内人である修験者が示す聖なる記しにより聖域へと入っていく実感を覚えることになる。

また、熊野は日本においてもきわめて雨が多い地域で、地形地質も特殊であり、景観や気象により異世界を感じることができる地域である。すなわち、この複雑な身体的・精神的経験が空間を「聖別」させるのである。

ところで、意識してみると、人は聖域においてのみでなく、私の「部屋」や「街」など、日常的に空間に意味を見出していることに気がつく。何がその現象のきっかけになっているのか立ち止まって考えてみると、とても面白いと思う。